ダイヤモンド・オンラインの記事によると、
- 高齢化
- ネットの普及
- デフレ
理由は様々だけど、公務員に限らず、全国的に「クレーム」の件数は増えてるらしい。
仕事に集中してる最中に、キレ気味な市民が窓口に来るやいなや、
こういうクレームは急に来るからビビるし、対応の仕方を知らないとうまく処理できず、メンタルへのダメージもデカい。
厚労省のサイトでもメンタルケアの個別事例として「クレーム処理の多い職場」を挙げている
実際、この記事を読んでるあなたも、
なんて思ったこともあるかもしれない。
この記事ではそんなあなたに向けて、「公務員のためのやっかいなクレーム対応」という本を参考に、
- クレーム対応をする際のマインドセット
- 厄介な一言への対応
これらについて、僕なりの意見も添えて、解説していくよ。
この本を一冊読んでおくと、クレーム対応がかなり楽になる。
「クレーム対応が苦手」って人はぜひ読んでみてね。
現場のリアルを踏まえた内容になってるので、公務員にはオススメの一冊
目次
クレーマーに立ち向かう際のマインドセット
悪質なクレーマーは、こちらのことなど一切考えず、自分の顕示欲やプライドを中心に考えて、言いたい放題に罵倒してくる。
そんな人と無防備に向き合えば、メンタルに深刻なダメージを受けかねない
だから、クレームに対応する際は、それ専用の心構えをしておく必要があるんだ。
本書では、クレーマーに立ち向かう際のマインドセットを全部で8つほど紹介してる。
この記事では、これらの中でも特に「ここは押さえておくべき!」という内容に絞って、
- 心の中では上から目線
- 罵倒されても気にしない
- 「まず謝る」は危険
これら3つを解説していくよ。
①心の中では上から目線
すごい剣幕で怒鳴り込んでくるクレーマーを目の前にすると、
ただ正直に言えば、毎回毎回、全力で謝っていたらメンタルがもたない。
だからこそ、態度は丁重にしつつも、内心では、
「何言ってんだコイツ。バカなヤツだなぁ…」
これくらいのスタンスで対応することを本書ではオススメしてるんだ。
これくらいの気持ちでいないと、心のバランスが取れないからね
ただ、こんなこと言うと、「全ての来庁者には内心まで真摯に向き合うべきだ!」なんて思う人もいるかもしれない。
確かにその気持ちはよく分かる。
でも、そんな理想を持った職員が、心無いクレーマーに潰された事例はいくつあるだろう?
「公務員」という言い返せない立場の人間が、自分の心を守るために相手をこっそり蔑むことがそんなに悪いことだろうか?
もちろん、クレームの中には、市民のサービス向上に繋がる良いクレームもある。
でも、僕が公務員だったときの記憶を呼び起こしても、90%くらいはいわゆる「厄介なクレーム」だった。
実際、2007年以降、「厄介なクレーム(特殊クレーム)」は激増してるらしい
そんな中、あなたが潰されないためにも、
- 表面上は丁寧に
- 内心は上から目線を保つ
こんなスタンスでクレーム対応を行うことは、客観的に見ても許される行動だと言えるはずだよ。
②罵倒されても気にしない
あなたが窓口やオープンスペースで来庁者に怒鳴られてる場合、他の職員にはどうに見えてるだろう?
でも大丈夫。こう考える人は現実にはいない。
むしろ、
これはあなたのミスや説明不足が原因で市民が激怒した場合も同じ。
今は、上司が部下をオープンスペースで怒鳴ればパワハラ認定される時代。
そんな価値観の現代において、仮にあなたに非があっても、
「怒鳴られてるヤツ」=「ダメなヤツ」
こんなふうに考えられることはまずあり得ない。
むしろ、怒鳴ってる人が「ヤバいヤツ」と認定されるだけ
だから、クレーマーの対応をする際は、
「罵倒の度合いが酷ければ酷いほど、周囲の人は同情してくれている」
こんなふうに考えて、自分をみじめな気持ちにしないことが大事なんだ。
③「まず謝る」は危険
怒り狂ってる相手を前にすると、
でも、こんな対応をすると、
- 相手はどんどんエスカレートする
- こちらに非がないことを不用意に謝ると、後々の解決が困難になる
などデメリットが多い。
だからこそ、
「悪くない点まで不用意に謝り過ぎないことが市民への誠実な対応」
こんなスタンスでクレームに対応することが大事になんだ。
そんな場合は、
- 相手の言葉を要約して返す
- 部分的に謝罪をする
これらのテクニックを意識してみてほしい。
このテクニックは本書とは別の本を参考にしたテクニック。別記事で詳しく解説してるので、気になる人は参考にしてね。
謝らないコツ①:相手の言葉を要約して返す
例えば、
こんなかんじで怒鳴ってる相手に対しては、
もし、これも難しいなら、
こんなふうに意識しておくと、無意識に出る「すみません」を防ぐだけでなく、
- 謝罪の言葉を口にしないで済む
- 話の理解が深まる
- 自分が冷静になるまでに時間稼ぎができる
- 相手も「話を聞いてもらえた」って気分になれる
こんなメリットがあるんだ。
謝らないコツ②:相手の言葉を要約して返す
- 相手が激昂してる場合
- あなたに非があることが確実な場合
こういう場合は「部分的」に謝罪をすることが効果的。
例えば、相手がブチ切れてるようであれば、
こちらに非がある部分があるなら、
こうすることで、
- 相手からの「謝ったってことは俺が正しいんだろ?」を防げる
- メンタルが負けないので、そのクレームが負け戦になることを防げる
こんなメリットがあるんだ。
実際に使えば分かるけど、いずれの手法もかなり役に立つよ
厄介な一言への対応
クレームへのマインドセットが整った後は、
- 相手の話を聞く
- 適切に処理をする
これが基本的な対応の流れになるかと思う。
ここで厄介なのが、「市長を出せ」などのパワーワード。
実際に現場で言われると、言葉に詰まってうろたえてしまうことは多いもの。
ただ実は、悪質なクレーマーから放たれる言葉には、よくあるパターンがあるんだ。
具体的には、
- 「お前じゃ話にならん。市長を出せ」
- 「このことは●●議員に言うからな」
- 「税金を払ってるんだから、これくらい当然だろ」
- 「この対応をネットに晒してやる」
- 「税金泥棒、お前なんかクビだ」
- 「お前の誠意を見せろ」
- 「ここですぐに詫び状を書け」
- 「こんな制度はオカシイ」
- 「公務員なのにそんなことも知らないのか」
- 「(お金が必要な)●●をすぐに実現しろ」
- 自治体内にある地域格差について
- 「●●市は××なのに、どうしてこの市は△△なんだ」
この12個。
ぶっちゃけ、これらへの返答を暗記しておくと、クレーム対応への不安の8割は消える
本当は、クレーム対応に悩むあなたに全部解説したいけど、それだと文字数が莫大になので、この記事では、
- 「お前じゃ話にならん。市長を出せ」
- 「公務員なのにそんなことも知らないのか」
- 「●●市は××なのに、どうしてこの市は△△なんだ」
これらに絞って解説していくよ。
クレーム①「お前じゃ話にならん。市長を出せ!」
役所に限らず、企業相手であっても、
「お前じゃ話にならん!市長を出せ!」
というワードはクレーマーの常套句。
ただ、当然だけど、組織のトップは一人のクレーマーに対応できるほど暇ではない。
なので、クレーマーが元議員だろうと何だろと、
厄介なのは、市長と言わぬまでも、
- 課長
- 部長
- 局長
など、ギリギリ出せそうな管理職の同席を求められる事例。
ただ、こういう場合でも基本的な対応は一緒で。上の人は出さない。
「そこに座ってんだから出せ!」と言われても、
「お前は制度のことを理解してないんだから代われ!」と言われても、
もし、「アイツ(課長や部長)が来るまで話さない」というのであれば、
こんなかんじで、意地でも上席の人間を出さないようにしよう。
この結果、部課長が自主的に出てきたらそれはそれでOK
クレーム②「公務員なのにそんなことも知らないのか!」
公務員として、知識不足をなじられるのは本当に悔しい。
でも、こう言われた際の第一声は、
もちろん、あなたにも言い分はあるかと思う。
- そもそも自分の所掌事務の範囲外
- 異動してきたばっかり
- ベテラン職員でもそんなこと理解してない
- そんなこと細かい事を覚えてるわけがない
- …
ただ、こんなこと言っても相手は納得するわけがないし、むしろ相手をヒートアップさせかねない。
だからこそ、不勉強を指摘された際は、そのことを素直に謝罪しよう。
その際、注意したいことは2点。
1つ目は「勉強不足な部分だけを謝罪すること」。
先ほども言った通り、全面的に謝罪をしてしまうと、そこから相手のクレームがエスカレートする可能性がある。
そうならないためにも、
そしてもう一つは、「相手の情報を鵜呑みにしないこと」。
自分の勉強不足を指摘された後に、「この制度は●●だから、××って処理でよろしく」と言われると、納得しそうになる。
ただ、それは非常に危険。
クレーム③「●●市は××なのに、どうしてこの市は△△なんだ!」
近隣自治体の制度やサービスと比較して、同じような対応を要求するクレーマーもいる。
これに対して本音を言うなら、
「バカ野郎。予算も職員の数も、規模が違うんだよ!」
こんなかんじかと思う。
ただ、単純に原因だけを伝えても納得しないので、そこは伝え方を工夫する必要がある。
具体的な回答方法としては、
- 自治体によって前提条件や考え方が異なるので、どうしてもサービスの水準に差が生じる
- 個人や世帯によってニーズは様々で、全員に納得してもらうことは難しい
- 不満がある住民がいることも理解してるが、我々としては、全体的なバランスの中で、このまちが選ばれるように努めている
- ご意見については、ご要望として受け止める
こんなかんじ。
ちなみにだけど、「サービス向上を目指して頑張ります」的な発言はしない方がいい。
しつこいクレーマーだと、後日やってきて、
公務員がクレーム対応する際のコツを解説したよ
今回は「公務員がクレーム対応する上で知っておきたいこと」を解説したよ。
もしかしたら、この記事を読んでるあなたは、
ただ、クレーム対応はパターン化することもできるし、数をこなせば慣れるもの。
今回紹介した方法を参考に、自分なりのクレーム対応のコツをぜひ見つけていってね。
それと、冒頭でも解説したとおり、今回の記事は「公務員のためのやっかいなクレーム対応」という本を参考にしたよ。
この本には、今回の記事では解説できなかった、
- 基本的なクレーム対応のコツ
- クレーマーのタイプ別攻略法
- 厄介な一言への返し方
- チームでクレームに対応する技術
- …
こんな、公務員がクレーム対応をする上で知っておきたい情報が網羅されている。
もし、今回の記事が少しでも参考になったのであれば、ぜひ本書も読んでみてね。
これ一冊でクレーム対応が怖くなくなると思えば安い買い物じゃない?
今回の記事があなたの公務員人生の助けになれば幸いです。
それでは!